『私に名前をくれて、ありがとう……』
ペトルーシュカ企画者のあいさつ

 このボイスドラマ企画を立ち上げて、早いもので半年が立とうとしております。皆様の暖かい応援のお陰で、2008年7月13日にボイスドラマを公開する ことが出来ました。

 公開より半月が立ちましたが、ここの所パソコンを開けば何かしらペトルーシュカの作業をしていたので、公開後は寂しくて仕方なかったです。でも、感想の 言葉を下さった方やキャストの方のコメントボイスなどでも暖かい言葉を頂き、公開できたことが本当に嬉しいく思います。
私にとって初めての企画で至らない部分も多かったかと思いますが、完成に至ってホッとしている部分も御座います。

 このボイスドラマは、ストラヴィンスキー作曲『ペトルーシュカ』のストーリーを基にして台本を作成しました。私はストラヴィンスキーが大好きなのです が、こんなにもわかりやすく、しかし悲しく繊細なストーリーを持った『ペトルーシュカ』は特に大好きな作品です。何かしらの形でこの「好き!」という気持 ちを形にしたいと思っていたのですが、台本を書き進めるうちにだんだんとオリジナルストーリーになってしまい原作の美しさは表現できなかったかも知れない です(苦笑)。しかし本当に素晴らしい作品ですので興味を持ってくださった方は是非聞いてみてくださいね!(とはいったものの、クラシック好きの人にも中 々良さが理解されない曲だったりもするのですが…;)



 私はずっと、このボイスドラマの主人公は魔術師であると思っていました。
 魔術師は、唯一人間臭い性格のような気がするんですよね。自分の名声のために酷いことばっかりして、それが自分の正義だと信じ込んでる。そしてラストは ホラー映画のシナリオの王道を一直線にたどっています。そんな魔術師に、人間は一番感情移入しやすいかな?と、台本を書いた時点では思ってました。

 だけど、キャストの皆様に命を吹き込んで頂き、彼らの繰り広げるドラマを聞いて気付きました。
 誰が主人公かは、聞き手によって違うんです。

 魔術師が主人公だと思った私は、何か夢見すぎなようで実は現実主義なのかなー?とか(笑)。
 エミーリアが主人公だと思ったら、客観的にこのドラマを聴いてくださったのだと思うし、
 ペトルーシュカや少女人形が主人公だと思ったら、キャラクターたちに感情移入してくださったんだろうな、とか、想像しつつ…。

 聞いてくださった皆様の中に、誰か主人公が生まれていたら嬉しいなと、今は思います。







 ペトルーシュカは、何もない人生の中で、何かを得ようと必死にもがいていました。
 結局それが報われたのか…報われなかったのか。多分、今も必死に、もがいているんじゃないかと思います。
 いつか、ペトルーシュカが人間としてこの世に生まれてくる日が来るかもしれません。そのときまで、私も必死に生きていきたいです。

 皆様も、このペトルーシュカの頑張りから何かを感じ取ってもらえると嬉しいです。




 以上で、企画者からのあいさつとさせていただきます。
 この挨拶文を書くのが最後の作業となるので、本当に名残惜しいのですが(笑)、またお会いできる日を楽しみにしております。


2008.08.02
OVD企画『ペトルーシュカ』
企画者:西村菜見香